あおいろ濃縮還元

虎視眈々、日々のあれこれ

桃白白ナイト

強烈な、35分間。

忘れられない。忘れない。初めてライブハウスで観た My Hair is Bad を。

 

「忘れたくないことだけを 覚えていく」

 

この日、椎木さんはそう言った。

だから書き残しておく。ずっと覚えておくために。だって忘れたくないのだ。笑って泣いて飛び跳ねた、嵐のような35分間のことを。

 

 

 

札幌のライブハウスにて、マイヘア主催で行われた『桃白白ナイト』という対バン企画。対バン相手はいずれも北海道のバンド。水曜というド平日にもかかわらず、チケットは2分で完売。キャパは300くらい?

 

My Hair is Bad の良さを挙げるとキリがない。言葉の選びかた、韻の踏みかた、描写のリアルさ、エグさ、女々しさ。でもやっぱり1番なのは、目が離せなくなるアツいパフォーマンスだ。

 

ライブがとにかくヤバい、と聞いてはいたけど、まんまとライジングサンで虜になった。

( 詳しくは、過去のブログにレポ書いてます→http://bloomsky.hatenablog.com/entry/2016/08/30/114528 )

あの鮮烈な30分間にまた出会いたくて、またマイヘアの掻き鳴らす魂に触れたくて、焦がれていたところに舞い込んできた『桃白白ナイト』。迷わず参戦キメた。

 

 

【出演者】 ALL IN A NUTSHELL / My Hair is Bad / TAGNUTS / THE BOYS&GIRLS

演奏順はナッツシェル→ボイガル→タグナッツ→マイヘア。他のバンドについては詳しくないので、マイヘアのみレポします。

時系列ぐちゃぐちゃなニュアンスレポです、それではどうぞ。

 

 

2016 10/12 (水) セトリ

アフターアワー

彼氏として

悪い癖

告白

クリサンセマム

元彼氏として

フロムナウオン

真赤

アンコール

優しさの行方

 

 

舞台上に3人が現れたとき、オーディエンスの熱気が高まった。音響チェックする間もふつふつと沸き続け、ライブが始まると同時に沸点に達した。前のほうへどっと押し寄せる人波。

いざ、幕開け。

 

 

「僕ら最高速でいつだって 走れるわけじゃないんだって いつかは 止まってしまう日が来る」と歌う『アフターアワー』。

 

ひとたびステージへ上がると、普段の人懐こい笑顔からはかけ離れた、情熱むき出しの椎木知仁がそこにいる。いつか止まってしまうことを知っているからこそ、マイヘアはこんなにも全力で、最高速で駆け抜けているのかな、と思う。

 

 

「桃白白ナイト、ってどういう意味か知ってる?」と椎木さん。

「ググってください。言えないから。ググって。(笑) 昨日ね、(ボイガルの)シンゴと中高生向けのラジオに出たんだけど。由来聞かれて、答えらんなくて…(笑)」

そう濁していたわりにはあっさり 「セ×××キャバクラのことです」 と答えを明かしてしまう。札幌に桃白白という名前のキャバクラがあるらしい。

 

「俺も行ったことはないよ。別に行きたいとも思わないよ!…でもさ、こんな名前付けちゃったからには、挨拶でも行かないと (笑)」

めっちゃ行きたそうじゃねえか。

 

 

 

新曲やります!と始まった『告白』。

韻の踏み具合が絶妙なアッパーチューンながら、どきりとする歌詞が胸を刺す。「未来に期待したい なんて撤回だ 今だけでいいんだ」 「誰かに合わすのはやめたんだ」 「どうしたいんだ そんなバックグラウンドに興味はない」。

今を生きてるなあ、とつくづく思う。過去は顧みず、いつか衰える未来があることを知っていて、マイヘアは今を全力で生きる。自らを燃やすことで輝きを放つ星みたいな、懸命な姿に心打たれる。

 

 

 

「桃白白に行ったことはないが、デリヘルはある」 と指を2本立てる。2回ある、らしい。

「1回目はおばあちゃん。おばあちゃん…。11000円もしたから、してもらったけど。そして2回目は!背の高いギャルだった!」

 

拍手が起こる。椎木さんのタイプが、キャバ嬢やギャルみたいな女の子なのは大体みんな知ってる。好みの子でよかったね!の拍手なのか。マイヘアのファン、椎木さんの性事情に寛容すぎない?

 

ちなみに17000円したらしい。デリヘル呼んだことと、内容まで話しちゃうバンドマンがどこにいるんだ。赤裸々すぎる所も魅力のひとつではある。

 

 

「札幌は、カッコいいバンドいっぱいいるね」

「タグナッツ オールインナッツシェル ボーイズ&ガールズ 正義 正解 不正解 有名 有名じゃない そんなのどうでもいい 俺たちは親友だ」

「平日のライブハウスに来てくれてありがとう」

 

平日のライブハウスに人を集めるのは簡単じゃない。対バン企画に乗ってくれたタグナッツやナッツシェルやボイガルがいて初めて、今日という日が成り立っている。

 

この日の椎木さんは以前見た時よりもがっつき度合いというか、噛みつかんばかりの前のめりさ、が薄かった。その代わり、ボイガルのシンゴさんをはじめとする仲間への感謝が濃かったように思う。

 

 

『フロムナウオン』はマイヘアの真骨頂。サビ以外の歌詞はほとんど毎回アドリブ、という凄まじい曲。どんなこと言ってたかは記憶ぶっ飛んじゃったけど、それはもう。すごかった。

 

 

 

「挿れるの?挿れないの?と聞かれ 挿れますと答えた ロックバンドでもロックスターでもない 24歳の男がいた」

「時代は流れる どんどん忘れていく どんどん忘れていく 楽しかったことも悲しかったことも苦しかったことも忘れていく 時代は流れる 忘れたくないことだけを覚えていく」

 

忘れたくないことだけを覚えていく。その言葉を聞いたとき、この瞬間をずっと覚えていたいな、と思った。

 

フェスで初めて観たマイヘアも、この日ライブハウスで観たマイヘアも、いつかホールやアリーナで観ることになるであろうマイヘアも、覚えていたい。

 

椎木さんのTシャツがグレーだったことや、バヤさんとヤマジュンに至っては姿すら見えなかったことも、忘れていくのかもしれない。でも、3人の掻き鳴らした音に心動かされたことだけは、ずっと覚えていたい。

 

 

 

 

 

3人が退場したあと、アンコールを求める手拍子が起こった。たちこめる熱気のなか、ぼーっと手を叩く。ステージはあっという間のようで、永遠にも思えた。

 

ライジングサンでマイヘアを観たとき、年内に絶対また観たいと思った。今までにないレベルで渇望した。

そのたった2ヶ月後、2分で完売したチケットを勝ち取ったこと。小さなハコでマイヘアを観られること。夢中で飛び跳ねて、MCに笑って、切ない歌詞と熱のこもったパフォーマンスに泣きそうになったこと。

この場所に立てていることが奇跡みたいに思えて、なんだか泣きたくなった。

 

 

「話せないことがたくさんある!!…でもデリヘルの話しちゃったもんな。これは話せないと思ったけど、話しちゃったもんな」

出てくるなり、またもやデリヘルの話をはじめる。35分(と本人が言っていた)のステージ中、どんだけこの話題に時間割いてるんだ。

 

「(夜中の)4時くらいにやまじゅん呼んで、どの子がいいかな?!って。この子にしようって決めて電話かけて、えっ今日はいない?じゃあこの子?いや絶対この子だよ!…17000円かあ…。ねえ17000円だって…とか言ってさ。(笑)」

 

「いつかもっと売れる!」で止めときゃカッコいいものを、「そしてもっと高いデリヘルを呼ぶ!」と続けるあたりがマイヘアらしい。

 

 

アンコールは『優しさの行方』。

「とられて困るくらいなら その手で持っておくんだよ」という歌詞になぞらえて、椎木さんは叫ぶ。

「ポケットの中でもない。はたまたカバンの中でもない。その手の中に持っとけ!」

 

何を持っておくのか、一人ひとり違うものを思い浮かべただろう。私はこの夜のことをずっと持っておきたかった。桃白白ナイト、なんてふざけた名前の夜を。目まぐるしい35分間を。

 

というわけで、ここに記しておきます。ありがとうございました。

 

 

 

読みにくすぎる長文でごめんね、書かずにはいられませんでした。あおでした。

 

書く

ひとつ、忘れられないことがあります。

 

文章を書くのが小さい頃から好きで、高校で文芸部に入りました。小説や詩や短歌を書いて、部誌にまとめるのが主な活動でした。当時使っていた「えそら」というペンネームは、その頃よく聴いていたミスチルのエソラという曲から来ています。

 

楽しかったけど、きっかり1年で辞めました。向上心や闘争心が周りになさすぎて物足りなかった。このままなあなあで適当に褒め合ってても上達なんてしない、嫌いになる前に切ってしまおうと円満に辞めました(周りに迷惑はかけてしまいましたが)。

 

部活を辞めて、文章を書くことはなくなりました。それでもツイートやライブレポを褒めてもらえると心踊りました。一方通行じゃない、見てくれてる人がいる、届いてる人がいる。言葉のいいところは、大なり小なり人の心を揺さぶれることだと思っています。誰かの心を揺さぶることができて嬉しかった。

 

そんなとき。高3になり、英検の一次試験に合格しました。一次の筆記試験に受かると、二次は面接があります。私と2年生の女の子とで、面接練習を受けることになりました。放課後、先生と3人で音読や質問の受け答えをみっちりと練習しました。

 

練習が終わり、帰ろうと階段を降りていたときのことでした。か細く私を呼び止める声がありました。その女の子です。ぎこちなく振り返った私に、その子は言いました。

 

「えそらさん、ですよね」

 

最初はなんのことだかわからなかった。1年以上も前に使っていたペンネームを、言われて初めて思い出しました。その子は続けて、部誌で私の作品を読んでとても記憶に残っていた、みたいなことを言ってくれました。

 

作品には本名は記しません。ペンネームだけです。ただ、部誌のいちばん最後のページに、この人の本名はこうですよというのがちょこんと載せてあるだけ。

 

つまり、私の作品を面白いと思ってくれて、本名が載せてあるページまで見てくれて、練習中に先生が呼んでいた名前を聞いただけで「えそら」と結びつけるほど記憶に残してくれていたということです。

 

覚えていてくれる人がいる。こんなにも届いていたんだ。私の言葉がその子のなかに息づいているのを目の当たりにして、嬉しくて嬉しくて泣きそうでした。

 

ツイートならこれを読んで少しでも笑ってもらいたいとか、ライブレポなら少しでも雰囲気を思い出してほしいとか、色々ありますが、私がなにかを書くときの芯は「誰かの心を揺さぶりたい」というシンプルな欲求です。

 

あんなに「届いた」と実感できたことは他にありません。荒削りで青臭い作品だったと思うけど、好きだと思ってくれたことも、名前まで覚えてくれていたことも、すごくすごく嬉しかった。

 

このたったひと言が嬉しくて、いまだに覚えている。なにを話したかは忘れたくせに、肌寒い廊下、私を呼び止めた声、あのとき湧き起こった感情をまざまざと覚えている。

 

あの一瞬があったから、私はなにかしら書くことをやめられない。「伝わる」っていうのがどういうことなのかを、本当に知ったあの日から。

 

 

長ったらしいけどつまり、これからもレポとか自己満足でいっぱい書くけどよろしくねチェケラ、ってことです。

そして、ツイートやブログが好きだと言ってくださるの、本当に本当に嬉しいです。こちらこそいつも読んでくださってありがとうございます。

あおでした。

ライジングサン'16 ⑨

2日間だけ現れる楽園。参戦は今年で2回目ですが、早くもライジングサンの虜です。

 

ライブがどうしようもなく好き。命をばちばち削る音に満たされるあの空間。会場にいる者しか味わえないあの熱気。ミュージシャンが鳴らす音だけではなく、客の歓声や曲に合わせて突き上げられる拳も含めて、ライブというひとつの作品が完成する。たまんないね。

 

だから、1日に何回もライブが観られるフェスは素晴らしいのだ。しかもライジングサンはオールナイトフェス。しようと思えば、朝までライブを観続けることも出来ちゃう。

 

とんでもなかった暑さも砂埃も物販の行列も、もはや愛しさすらある。チケット高くても休み取りづらくても、なんとしても毎年行ってやる。ライジングサンが好きだ!!

 

絵音さんの情熱的なギター、クレイジーな田淵ステップ、椎木さんの激アツ即興MC……観たかったものがことごとく観れた。お母さんはユニゾンのDVDを買ったり、私はマイヘアのバンTを部屋着にしたり、未だに余韻にずぶずぶ浸っている。

 

忘れたくない。ずっとずっと覚えていたい。そんな思いでレポを書いていました。私がこれを読み返すことで、色々なことを思い出せたら。誰かがこれを読むことで、こんなことあったなあって懐かしんでくれたら。そんなことあったんだなあって知ってくれたら。そしたら嬉しいです。

 

最後まで読んでくれてありがとうございます。ライブレポは是非またやってみたいので、その時はよろしくお願いします。

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また来るぜライジングサン。

あおでした。

 

 

ライジングサン'16 ⑧

ゲスの極み乙女。

 2016 8/13 セットリスト

キラーボール

パラレルスペック

私以外私じゃないの

ロマンスがありあまる

新曲

キラーボール (adult ver)

サイデンティティ

アソビ

餅ガール

jajaumasan

ドレスを脱げ

 

スタンディングゾーンに飛び込んでいったときには、『私以外私じゃないの』中盤に差し掛かっていた。ここから『ロマンスがありあまる』へと続き、例によって夢中で飛び跳ねていたせいで曲中の記憶がありません。

 

ちなみに私は、私生活がどうであれ、絵音さんの音楽が才能に満ちあふれていることに変わりはないと思うよ。語り口調のAメロからエモーショナルなサビへ畳み掛けていく手法も、全編通して漂う独特の切なさも、クセになる言葉の遊ばせ方も、絵音さんしか持ちえない魔法のスパイスだ。

 

音楽はあくまで音楽であって、歌手のルックスや素行と切り離したところで聴きたい、私は。かっこいいから好きとか、女にだらしないから嫌いとか、そんなのファッションミュージックとしか聴いてないんじゃない?って思っちゃいます。

 

スタンディングゾーン後方は、歌に合わせて肩を揺らすだけみたいなお客さんが多かった。さっきまでマイヘアでモッシュに突っ込んでいたため物足りなく、母の手を引いて人をかき分け、またもや前から3列目くらいの超良好ポジションをゲット。

 

当たり前だけどやっぱり前列はガチなファンばっかりだから、手を突き上げるタイミングも完璧でちょっと感動する。後列にいると、「この曲知らない (笑) 」 ってのをよく聞くんだけど、知らないのはいいとして曲中にそれ喋るのやめようよ~~。

 

新曲 (確か『幸せりんご』みたいなタイトル)では、いこか様が普通にハンドマイク持ってバンドセットから出てきた。そんで絵音さんとデュエット。もう観客ざわめいてましたよ。夏の夜を彩るように、艶っぽく響くツインボーカル。ドラムはインディゴの佐藤栄太郎氏。

 

そのあとの『キラーボール(adult ver)』は、オリジナルからガラッとメロディーが変わっていた。個人的にはこっちの方が好みかも。「たった今 わかったんだ」という部分が、メロディーが変えられたまま何度も何度も繰り返される。adult verはライブでだけ聴けるプレミアムなもので、音源化する予定はないとMCで言っていた。

 

『餅ガール』『jajaumasan』『ドレスを脱げ』あたり持ってくんのアツい。聴きたいな~歌うかな~でもSUN STAGEだし有名なやつメインなのかな~~なんて危惧してたのがアホみたい。ばっちり飛び跳ねました。

 

絵音さん色気すごかったし、「コポゥ!」生で聴けたし、ベースめちゃくちゃうまいし、いこか様可愛いし。いこか様好きだから、ツインボーカルと『ドレスを脱げ』聴けて嬉しい。余談だけど、ドレスを脱げのPVを観てぐっとこない男子はいないと思うな。

 

 

ゲス乙女を観終え、私と母のライジングサンは終わりを遂げたのでした。すごい楽しかった。すーーーごい楽しかった。

 

まとめ的な感じで⑨をちょろっと更新して、ライジングレポは終わりにしたいと思います。

あおでした。

ライジングサン'16 ⑦

My Hair is Bad

23:10~def garageにて、My Hair is Bad

 

def garageはメインステージから程近い (ゆえにメインステージまでここの音が聴こえてくることも) 場所にある、即席ライブハウスのようなテント。若手の登竜門。

 

CDを買うとサイン入りカードがもらえるということで、「一目惚れe.p.」ゲット。あまりの可愛さにツアT×2と、ここには写ってないけどタオルも買ってしまった。期待値マックス。

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30分ほど前に着くと、ちょうどサウンドチェックが始まるところだった。メンバー全員普通に出てきてジャカジャカやりだしたもんで、え?まじで本人?スタッフさんじゃなく??と一瞬思った。だけど黒いウインドブレーカーのフードをすっぽり被ってるのは、間違いなくボーカルの椎木さんで。リハから見れるなんて贅沢な。ガン見してたら目が合った気がした。おめでたい錯覚。

 

サウンドチェックに対して、ペンギンみたいに両手広げて「すごくいいと思いまーす」って言ったり、後ろ向いたときにTシャツのタグがぴよんっと出てるの見えたり、椎木さんのこのあざとさがツボにハマって抜け出せなくなる女性ファン多そうだな~と思った。私もいずれ危ない。

 

2016 8/13 セットリスト

真赤

アフターアワー

元彼氏として

フロムナウオン

戦争を知らない大人たち

夏が過ぎてく

 

 

リハは確か『マイハッピーウエディング』→『ドラマみたいだ』→『彼氏として』。

 

『ドラマみたいだ』の間奏で「リハでーす!」と叫んだこと、『彼氏として』を演る前に「何がいい?月に群雲?彼氏?……彼氏がいっか。彼氏やりまーす」と意見を仰いでいたこと、リハ終えたあと「今何分?残り5分?4分?……やったるぞ。笑」と意気込んでいたことなどを覚えている。

 

 

熱量。とにかくそれに尽きた。

語りがとにかくすごくて。アツくて。しびれた。

 

椎木さんがしきりに叫んでいたのは、本物になりたい、という想い。

 

以下、うろ覚えのMCです。完全に記憶だけで書いてるのでニュアンスだけ掴んでもらえたら。

 

「仕事や学校で成功したいよな?やれることはやりたいよな?俺だってかわいい女の子とヤりたい。電話で女の子をホテルに呼びたい。あの子と結婚したい。いつか妻と子どもを連れて夏フェスに来たい!」

 

「……でも、ただひとつだけ強く思ってることがあって。俺は、本物になりたい」

 

「1999年、第1回目のライジングサンロックフェスティバル。俺はbloodthirsty butchersの映像を擦り切れるほど見た。本物のロックバンドを見たと思った」

 

「2016年、夏。新潟県上越市出身のクソガキがライジングサンのステージに立っている。ライジングサンで1番いいステージになんてできるわけない。でも俺は本物になりたい。若手なめんな、若手なめんじゃねぇ!本物のロックバンド見て帰ってくれ。あの時マイヘア見たんだぜって10年後言ってくれ」

 

25のクソガキ、若手、ということを言っていたけど、マイヘアは今年で結成10年になる。バンド活動とバイト (今もやってるのかはわからない) に明け暮れるマイヘアが望むのは、「売れたい」というシンプルな願い。今でも機材は自分たちで運ぶらしい。機材を他のスタッフに運ばせられるようになりたい、売れたい、と。

 

変にカッコつけるより、素直に売れたいと叫ぶバンドが私は好きだ。じゃんじゃん売ってくれ、どんどん買うから。キュウソ然りマイヘア然り、4大フェスのひとつに出演してもなお満足せず「売れたい」と言う。飽き足らない向上心が、ハングリー精神が、なによりも「本物」のバンドを育てていくのだと思う。

 

 

 

「今は誰の番だ?なあ、今は誰の番だ?でけぇ声で言ってみろ!」

誰もなにも言わない。語気の強さに、その場にいるみんなが息を呑んでいるみたいだった。

 

「もちろんブルーハーツでも、ここにいる俺らでもない。今は誰の番だ?でけぇ声で言ってみろ!」

圧倒されて、動けなかった。何も言えなかった。熱を帯びていくボーカルから目が離せなかった。ただ、次の言葉を待った。

 

「てめえの番だ!!1999年でも、2020年でも30年でもない、俺たちは今を生きてんだよ!……フロムナウオン」

そんな語りから始まった『フロムナウオン』。じんときて、ああこのバンド大好きだって思って、夢中で飛び跳ねた。

 

 

あまりにMCが印象的で、曲中のことはほぼ覚えていない。「元君の彼氏より」と歌うところを 「元お前の彼氏より」 などと替えて歌っていたことぐらい。

 

曲がすごくなかったという意味ではもちろんない。刺さって抜けなくなるくらい鋭い等身大の歌詞も、熱いプレイも、とにかくすごかった。本物のロックバンドを見た、と思った。私の中では、間違いなく今年のベストアクトだ。たった30分ほどのステージだけど、こんなにも濃密でヒリヒリする30分は他にない。

 

「いいと思ったらCD買ってください。よくないと思ったら買わなくていい。そういう形で応援してください」という言葉通りに、帰りにタワレコブースに寄った。アルバム「narimi」を選ぶ。

ライブで拍手や歓声を送るのもそうなんだけど、CDを買うことがいちばん目に見える貢献だと思ってる。年中金欠だからレンタルで済ませがちだけどね。歌詞カード読むの好きだし、なるべくちゃんと買いたいなあ。

 

 

 

余韻に包まれながらメインステージへ歩いていくと、『私以外私じゃないの』が聴こえてきた。母の手を引いて走る。

 

次回、⑧はゲスの極み乙女。ライジングサンで観たステージとしてはこれが最後です。⑨でまとめ書いて終わりかなーと考えてます。あと2回、お付き合いくださいませ。

あおでした。

ライジングサン'16 ⑥

UNISON SQUARE GARDEN

12:30~ SUN STAGEにて、お目当てのユニゾン

私も母も田淵ファンなので、左の前から3列目をゲット。いちおう説明しておくと、テレビに出演すると話題になる「怖いベースの人」が彼です。作詞作曲を手掛けるバンドの頭脳でありながら、プレイは超クレイジー。ギャップがたまらん。

 

2016 8/13 セットリスト

クローバー

桜のあと (all quartets lead to the?)

オリオンをなぞる

BUSTER DICE MISERY

リニアブルーを聴きながら

天国と地獄

harmonized final

誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと

mix juiceのいうとおり

シュガーソングとビターステップ

シャンデリア・ワルツ

 

陽射しは強いわ、ジャンプしすぎると砂埃がもうもうと舞うわで夏フェス感満天。メインステージのトップバッターだけあって、代表曲多めで、イントロが鳴るたびにテンションが跳ね上がっていく。

 

皆さんご存知だとは思いますが、ユニゾンはとにっっかく演奏がうまい。音が生きてる。才能がバチバチぶつかり合ってるのがわかる。そのくせバランスは抜群に取れてるという奇跡みたいなバンド。

 

重厚なサウンドの上をすいすい泳ぐ心地よいハイトーンボイス。ボーカルの斎藤さんの声がすごく好き。程よい高さが耳にすうっと馴染む。この声で乱暴なフレーズを歌われたり吠えられたりすると、ちょっとたまらない。

 

クローバー、桜のあと、オリオンと続き、ここでMC。

UNISON SQUARE GARDENです!…今日は僕らなんかが立たせてもらうのはおこがましいぐらいの素晴らしいステージを用意してもらいました。なので、有名人に見えるように、僕らなりに有名な曲を持ってきました」

 

「ですが次の曲は、最新アルバムの中でもいちばん人気のない曲です」

 

からの『BUSTER DICE MISERY』。予習が甘かったせいでこの曲だけ知らなかったんだけども、いっっちばん血液が沸騰したのがこの曲。演奏が!かっこいい!かっこいいよ!!シビれる!!!!演奏には疎いけど、ユニゾンが強烈にうまい、というのはわかる。

 

『天国と地獄』めちゃくちゃ好きだからさ、生で聴けてほんと嬉しかった。「Who is normal in this show?」の言い方からしてたまらなく好きなんだ。いいねいいね。疾走感。砂埃なんて知るかよ!と思いながら飛び跳ねまくって手を突き上げまくった。

 

『harmonized final』が終わり、再度MCを挟む。

UNISON SQUARE GARDENです!…今日は僕らなんかが立たせてもらうのはおこがましいぐらいの素晴らしいステージを用意してもらいました」 この辺りで笑いが起き始める。そう、前のMCとまったく同じこと言ってるのだ。

「なので、有名人に見えるように、僕らなりに有名な曲を持ってきました」 おいおい同じじゃねえか!!!

「ですが次の曲は、人気がなくてカップリングになった曲です」 ほぼ同じじゃねえか!!!ここで001に入った。

 

ところで私と母は前述の通り田淵ファンなので、本編通してずーーーっと田淵さんばっかり見てた。歌もギターも超絶ドラムもしっかり聴いてるよ、聴いてるけど、一挙一動から目が離せない。モンスターみたいに激しく暴れ回るくせに、ベースはしっかり弾いてる、しかもエグ巧い。なんなんだ。

 

この日の田淵さんはものすごく機嫌が良さそうだった。笑顔が多かった。ミックスジュースのとき嬉しそうにステップ踏んだり、リズミカルに肩を揺らしていた。全体的にすごく楽しそうで、喜びを全身で噛み締めているみたい。何回かこっちの方(私らを見てるわけではないだろうけど)を向いてニヤッと不敵そうに笑った。もーーノックアウト。

 

シュガーソングとビターステップ』はいちばんの代表曲なだけあって、私の隣で終始体を揺らしてただけのご婦人も夢中で手を突き上げていた。田淵さんのあの、ベースから手離して、両手の人さし指を胸の前に持ってくるポーズあるでしょ。(PVで見れるかな?) あれを生で拝めたのが嬉しすぎて、母と肩叩き合った。

 

『シャンデリア・ワルツ』をシメに持ってきたのはすごくいいね。「ハローグッバイ ハローグッバイ」という歌詞がぴったり。鈴木さんは袖に引っ込む最後の最後まで手を振ってくれていた。

 

もう控えめに言って最高だった。最高だった。

 

ほんとはこのあとスカパラSHISHAMOが見たかったけど、暑さでバテバテだったので一旦帰ることにした。「よりぬきROOTS66」っていう渡辺美里やら斉藤和義やらトータス松本やらぞろぞろ出てくる豪華なステージも見たんだけど、レポ割愛させてください。悪しからず。

 

次回⑦は!My Hair is Bad

もう既にめちゃくちゃ熱をこめた下書き用意してるので、あとは微調整して投下するだけです。ものすごいステージでした。にわかで行ったにもかかわらず、私の中で今年のベストアクトでした。お楽しみに。

あおでした。

 

はじまりのうた

お題に沿ってブログを書く、というyucoさんの素敵な企画にちゃっかり乗っかってみたいと思います。繋ぎます、ことばのバトン。

詳しくはこちら↓↓ (リンク貼るの下手っぴ)

http://yyy6996.hatenablog.com/entry/2016/08/15/214752

 

今回のテーマは「はじまり」

 

ツアーも今日からはじまるということで、私と愛してやまないコブクロとのはじまりについて語らせてくださいね。

 

 

 

 

コブクロのはじまりが『桜』という曲であるように、

 

私がコブクロに出会ったはじまりの曲もまた『桜』だった。

 

小学1年生の頃、だったと思う。音楽に興味がないどころか、物心がついていたかも怪しい。いつも9時には眠りについていて、金曜ロードショーやドラマを観ることは、当時の私にとって「夜更かし」に分類されていた。

 

その頃、夜更かししてまでも私が観たかったもの。「N'sあおい」……の主題歌、『桜』を聴くためだけにわかりもしない医療ドラマをせっせと観た。

 

『桜』が、新たな扉を開けてくれた。すべてのはじまりだった。

 

お父さんの好きな玉置浩二徳永英明の良さはまだわからなかったけど、コブクロだけは大好きだった。歌詞を丸暗記してカーステレオにあわせて歌った。『ここにしか咲かない花』も好きになった。親が「NAMELESS WORLD」を買ってくると、もう全曲夢中になって聴いた。

 

いちばん好きなアルバムは「5296」だけど、原点を挙げるとすれば「NAMELESS WORLD」だ。いちばん大切な曲は『どんな空でも』だけど、原点はやっぱり『桜』だ。

 

歌詞がわからなくても、音楽に疎くても、心に響くなにかが『桜』にはあった。あのとき親がCDを買っていなかったら、綺麗な歌声だなぁと思うことがなかったら、コブクロを好きになることも、音楽を好きになることすらなかったかもしれない。音楽に救われることもないまま、ライブの楽しさも知らないまま過ごしていたかもしれない。

 

大袈裟かもしれない、綺麗事かもしれないけど、私はほんとにコブクロの歌で人生が変わったと思ってる。誰も味方になってくれないような時でも音楽は寄り添っていてくれること、背中を押してくれること、ライブがこんなにも楽しいエンターテインメントだということ、全部コブクロから学んだ。コブクロを聴いていなれば友達いなかったろうし、今の大学にも合格できなかったろう。

 

それも全部、あのとき『桜』に出会ったから、はじまった。

 

   夢を拾った 桜の下で

   君に出会わなければ 今ここにいない

 

『STAGE』の歌詞に出てくる「君」とはおそらく、小渕さんにとっての黒田さん。黒田さんにとっての小渕さん。私たちファンにとってのコブクロ

 

そうだよ、あのはじまりがなければ、10年の時を経て今日のライブに参加することもなかったんだよ!

 

「はじまり」に感謝しつつ、行ってきます。TIMELESS WORLDツアー初日。今日もまた、はじまりの日だ。

 

あおでした。